誕生日が嫌いな人へ
誕生日前日は1年の中で1番最悪な日だ
なんなら誕生日も最悪だ 憂鬱だ
誕生日なんて存在しなければいいのに
私はまだまだ大人になんてなりたくないのに
いつまでも子どもと大人の狭間にいたいのに
そうだ、私は誕生日前日と誕生日の間の人間になりたい
このなんともいえない狭間
生きていたらいつかどこかで大人にならなくてはいけない
15歳から16歳になる時、ひとりカフェで海辺のカフカを読んで涙した
「目が覚めたとき、君は新しい世界の一部になっている」
主人公と同じく生きるということの意味もわからないまま
私は16歳の世界の一部になった
それ以来私は1年ごとに自分だけの垢でひとりごとを記録してってる
グチャグチャなままの叫び声がただ無音の文字で羅列している
そこにはただ炉端の石ころみたいなのもあれば、夢を見て朝起きて「これは私の脳内でつくりだされたものなのか…?」と半ば信じられない気持ちになる、そんなような言葉もある
この歳の垢ももう終わりだ
生きていったら何十垢とつくることになってしまうな
今年からはビデオも撮り始めた
私はまた違うこの月山垢で本当に大切な人に出会えたしそれは一年前の私には居なかった人達だ
生きていくのも悪くないと思えた
moonchildも黒い羊もリバーズエッジも青い春も君の名前で僕を呼んで、も他にも数え切れないほど
私の人生の宝物のような作品はこの歳出会った
時代を共にでき自分にその世界を取り込むような感覚
世界という大海で取り残されたくないと小舟を漕いでいる
靄で行く先もわからない中、コンパスのような言葉たち 歌や本や映画
私は言葉というものが本当に美しいものだと思う
それを紡いだ人が生きようが死のうがその言葉は私の中では永遠なのだ
最近小説を書き始めた
小学生からポツリポツリと短編はやってても長編を吐き出すのは結構骨がおれる
私にこれから出会う人も去る人もいるけれど
私のこの苦しみを理解した上でいっときでも本当の意味で「お誕生日おめでとう」と言ってくれた人を私は忘れはしない
去年あまりに悲しくて呼吸もままならないまま誕生日前日いろんな人に助けを求めた
「更新される自分の中にも過去の自分って絶対に生きたまま」
前の歳の私は死んだわけではない
傷つきながら生きていきたい
その傷はタトゥーのように自分の心を彩ってくものだから
誕生日が嫌いな人へ
歳を重ねることの苦しみを心の中へもちながら季節を重ねる人へ
時代と世界という大海をどこかの靄の中漕いでいるあなたへ
今日私もまた、ひとつ小舟をそっと漕ぎだしました