Blue hour

夜と朝の狭間

松田龍平

 

何かを生み出さなければならないことにため息をつきながらも書くと止まらない、そんな文を書いている

 

松田龍平はミンユンギ経由で改めて知った人だった

妹に写真をみせて顔は知ってると言われたように私もこれを書くつい数日前まではそうだった

顔は知ってる、ドラマや映画でも出てたかもしれない

最近のドラマのケモナレにも出てる俳優

そんな朧げな形をした人だった

 

気だるげな雰囲気はミンユンギに似ていた

というより顔が瓜二つだった

兄弟と言われてもなんとなく納得できる

なだらかなカーブを描いた整った鼻、シュッとした輪郭、そして小さな目

パーツ1つ1つが華美でないため人にイケメンかと聞くと大体首を傾げられる

ただそれらは端正に配置されていた

 

そんな顔が人に与えるのは"大人しそう"だ

幼少期等幼い頃をみると少女のようなあどけない可愛さがあったり思春期には中世的、耽美な印象を受ける容貌をしている

その時のミンユンギは浅黒くやんちゃみがあるけど…

 

実際に性格的には静かだ

でも大人しいとは対極のものを内に秘めており、触れると火傷なんてものでは済まされない

そんな青い炎のような人間が私はとても用心する人だと思っている

 と同時に私はそんな人間が本当に好きだ

 

彼は16歳の時で「御法度」という作品でデビューした

それは男同士の濡れ場がある過激なものだった

 

予告編をみて引きずり込まれるような高揚感を覚え

その次の日に御法度、青い春、ナインソウルズ、46億年の恋、と4作品一気に借り祖父母の家で夜を徹して観た

 

出てきた瞬間、ため息が出た

なんて美しいんだろう

もう完全にその時に私は彼のファンになっていた

虜といった方がロマンチックか

三島由紀夫が言っていたっけか

『日本男児を最も美しく見せる服は剣道着だ』と

紺ではないにしろ、白い肌に白い剣道着はなるほど、あまりに彼に花を添えていた

 

不意に見せるあどけない顔、誘うような仕草、凜とした佇まい、妖艶な顔立ち

加納惣次郎は沖田総司以外の新撰組登場人物すべてを虜にしていった

先日のドラマ、ケモナレでのベットシーンで布団にくるまり朝日に照らされる彼をみても

浮かび上がってくるのは雪夜、着物がはだけ灯に露わになった白い肩だった

 

耽美に品行方正、剣の腕は突出、おまけに魔性のサガときたらたまったもんじゃない

御法度が過ぎる...と女の私もクラクラしてしまった

 

16歳の男子が18歳の男の色気をなぜあんなにも出せるのだろう

イケメン、七光り、そんなのは足元にも及ばぬ

圧倒的な魔性さが滲み出て酔わせにきていた

 

変な気持ちになる

魔がさす、そんな気持ちになる

映像の彼に手を出せるわけでもない

でもこの気持ちはそれでしか表せなかった

「ふと魔がさした」と

その度にうぅ…と呻きたくなるような思いにも駆られる

 

『美少年に惚れると、自由の人間がたちまちに奴隷となり多くの資産を損な快楽に蕩尽し、高尚有益なことに用いる多大な時間を失い、気狂いさえ問題としないような事柄に熱中しなくてはならなくなる』

___ ソクラテス

 

『すべての女性が1匹の悪魔を連れるのだとしたら、美少年は17匹を連れている』

___ イスラムの格言

 

 

私はどうやら17匹の悪魔を連れ、今もなお姿を変えて猛威を奮う松田龍平という人間にすっかり傾倒することになったようです。